なんとなく債務整理についてわかってきたけど、債務整理後の生活が、まだイメージできないよ。
債務整理後の生活について
債務整理と聞くと、家族の生活にまで悪い影響が出てきそうなイメージがありませんか?
じつはそんなことはありません。
そもそも、債務整理は、債務者に対して制裁を与えるものではなく、経済的に立ち直ることができるようにするものなのです。
一言に債務整理といっても、『自己破産』『任意整理』『個人再生』と種類は様々です。
その後の生活もそれぞれの種類で違ってくるので、どのような変化があるか、それぞれみていきましょう。
自己破産後の生活について
自己破産は、破産法に基づき裁判所で免責許可を得ることで、自身の財産を清算し借金を帳消しにすることです。
では、自己破産をした場合、その後の生活についてみていきましょう。
借金が無くなり、督促など精神的なストレスから解放される
自己破産の一番のメリットは、借金が帳消しになることです。
借金があることで、毎月の返済日が近くなるにつれて、こんなことで悩んでいたのではないでしょうか?
『借金を返すために借金をする』
『家族や友人にお金を貸してほしいと頼む』
『生活を切り詰め、なんとかお金を用意する』
『督促の電話が何度もかかってくる』
このような、精神的なストレスからも、借金が無くなることで解放されることになります。
もし、借金が無くなったらどうですか?
自己破産によって今よりも幸せな生活を送ることができる可能性が高いのではないでしょうか。
自己破産すると官報に掲載される
自己破産すると、その事実が『官報』に掲載されます。
官報とは、法律や法令の制定・改正情報、破産などの情報が掲載され、国が発行する文書。
ちょっとお堅いイメージですが、ほぼ毎日発行される、国が発行する新聞のようなものです。
官報に掲載される情報
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上記のように、自己破産することで、名前や住所が掲載されます。
そのため、周囲の人にバレるんじゃないかと心配するかもしれませんが安心してください。
基本的に官報を、見る人は限られていますし、ほぼ毎日発行されるため情報量も膨大です。
官報からバレる可能性は極めて低いのです。
一定期間(一般的に5~7年)は新たな借り入れができなくなる
自己破産すると、個人信用情報機関に自己破産したという事故情報が登録されます。
いわゆるブラックリストに登録された状態です。
この情報は一般的には5~7年程度で消えます。
つまり、この事故情報が残っている間は新たな借り入れやクレジットカードを作るなどができなくなります。
一方、この事故情報が消えてしまえば一般の方となんら変わりません。
新たに借り入れしたり、クレジットカードを作ることができるようになります。
自己破産することを一生引きずって生活することは全くありません。
自己破産は一定の財産を失う
自己破産は自分の借金を帳消しにすることから、強力な債務整理の1つ手段です。
しかし、自己破産する場合、自分の財産をすべて裁判所に開示して、換価し債権者へ配当しなければなりません。
つまり、持ち家や自家用車などの財産などを失うことになります。
自家用車についてはですが、車のローンが残っている場合や査定価格が20万円を超える場合は没収されてしまうでしょう。
自己破産で失う財産
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自己破産すると職業が制限される 就けない仕事・職業は?
自己破産した場合、一定の期間就けない仕事や職業があります。
どのような仕事や職業が制限されるかみていきましょう。
弁護士や司法書士などの士業
弁護士、司法書士、弁理士、宅地建物取引士、土地家屋調査士、不動産鑑定士、公認会計士、税理士、行政書士、通関士 など |
〇〇士などの、士業の一部では、自己破産は欠落事由に該当してしまうため、職業が制限されてしまいす。
つまり、破産者の状態では、上記の職業に登録することができないんです。
また、すでに上記の士業に登録している人の場合、自己破産したことで登録が削除されてします。
でも、破産手続が終了して復権すれば、また登録することができます。
一度取った資格がはく奪されるわけではなく、一定期間その職業に就けなくなるということです。
制限のある職業
貸金業者の登録者、生命保険募集人、警備業者の責任者や警備員、旅行業務取扱の登録者や管理者、質屋を営む者、建築業を営む者、割賦購入あっせん業者の役員、風俗業管理者、下水道処理施設維持管理業者、廃棄物処理業者、調教師、騎手 など |
上記の職業の場合、自己破産すると資格制限を受けます。
職業次第で制限される内容は様々ですが、上記の職業の場合には勤務先に自己破産したことを伝える覚悟が必要です。
資格が制限されている間は働けません。
それを隠して働くことは違法です。
勤務先の会社としても、それを見過ごすわけにはいかないでしょう。
また、資格制限のある職種の会社の場合、官報の自己破産情報をチェックしている可能性もあり、勤務先に自己破産のことが知られる可能性もあります。
上記の職業の場合、あとでトラブルにならないように、事前に勤務先へ自己破産することを伝えるようにしましょう。
破産手続き中は、休職や転属などの対応をとれるようにしましょう。
どうしても休職や転属が難しい場合は、任意整理や個人再生など自己破産以外の債務整理を検討するようにしましょう。
任意整理後の生活について
任意整理は、弁護士や司法書士が債権者(業者)との間に入って『返済額の見直し』や『利息カット(免除)』などの交渉をすることです。
では、任意整理をした場合、その後の生活についてみていきましょう。
毎月の返済額が減る
任意整理で債権者との和解が成立すれば、借金の元本の金額は変わりませんが、返済期間の見直しによって月々の返済額が減らせます。
どのように変わるのか、例をみてみましょう。
任意整理前後の月々の返済額の変化
任意整理する前 | 任意整理した後 |
A社 月々 2万円 | A社 月々 1万円 |
B社 月々 2万円 | B社 月々 1万円 |
C社 月々 4万円 | C社 月々 3万円 |
D社 月々 2万円 | D社 月々 1万円 |
合計 月々 10万円 | 合計 月々 6万円 |
任意整理をすることで、返済期間を見直し(延長)することで、月々の返済金額が抑えられ、資金繰りが改善します。
返済期間の見直しにより、借り入れの期間が延長されることで通常より利息の負担が増えちゃうんじゃないのって思ったりしませんでしたか。
でも、大丈夫です。
基本的に任意整理の交渉を行う際は、『返済額の見直し』と『利息カット(免除)』の交渉も同時に行うので、安心してください。
将来の利息がカット(免除)される
任意整理の和解交渉では「将来の利息カット」も重要な交渉のひとつになってきます。
「なんだ…借金の元本が減るわけじゃないのか」っと思っていたら大間違いですよ。
銀行系のカードローン、消費者金融、クレジットカードなどの無担保ローンは金利が年率10~18%と高金利です。
例えば、200万円の借入を5年かけて返済する場合、支払う金利の総額は85万円にもなります。
年率15%の金利が5年間という期間にわたってかかってくるので、かなりの金額になるのです。
利息のカットとは、この支払うべき利息額の85万円を支払わなくてよくなるのです。
これってすごいことじゃないですか。
では、具体的な例でみていきましょう。
【例】
・借入額 200万円(合計4社から借入)
・金利 15%
・月々の返済額 5万円
・残りの返済期間 5年
そのまま返済を続ける場合 | 任意整理した場合 | |
借金額 | 200万円 | 200万円 |
利息額 | 15% | 0%(利息カット) |
月々の返済額 | 5万円 | 3万3000円 |
総支払額 | 285万円 | 200万円 |
支払利息額 | 85万円 | 0円 |
上記の具体例だと、85万円の利息の支払いが免除され、総支払額と月々の返済負担が減ることになります。
任意整理によって資金繰りに余裕ができますね。
一定期間(一般的に5~7年)は新たな借り入れができなくなる
任意整理した場合も、自己破産の時と同様に個人信用情報機関に任意整理の情報が登録されます。
つまり、この事故情報が残っている間(5~7年程度)は新たな借り入れやクレジットカードを作るなどができなくなります。
個人再生後の生活について
個人再生は『民事再生法』という法律に基づいて、裁判所を通して申し立てを行い、借金を減額する手続きです。
借金は大幅に減額されますが、自己破産と違い借金が無くなるわけではありません。
では、個人再生をした場合、その後の生活についてみていきましょう。
個人再生をすると借金が大幅に減額される
個人再生をすると借金が大幅に減額されます。
借金の総額次第で最低弁済額が違ってきます。
最低弁済額とは借金が減額される際に最低限返済しなければならない金額のことです。
借金の総額と最低弁済額の関係は以下の通りです。
借金の総額 | 最低弁済額 |
100万円未満 | 全額(減額されません) |
100万円~500万円以下 | 100万円 |
500万円~1,500万円以下 | 借金総額の5分の1 |
1,500万円~3,000万円以下 | 300万円 |
3,000万円~5,000万円以下 | 借入総額の10分の1 |
借金が100万円未満だと全く減額されませんが、
500万円あった場合だと、400万円減額されて100万円になりますね。
多重債務で資金繰りに行き詰まる場合、借金の総額は100万円以上の方がほとんどじゃないでしょうか。
そのため、基本的には個人再生を行うことで、借金の総額は減るという人が多いでしょう。
また、借金の総額が100万円未満だとしても返済期限の延長や返済額の見直しにより、資金繰りが改善されるでしょう。
一定期間(一般的に5~7年)は新たな借り入れができなくなる
個人再生した場合も、自己破産や任意整理の時と同様に個人信用情報機関に任意整理の情報が登録されます。
つまり、この事故情報が残っている間(5~7年程度)は新たな借り入れやクレジットカードを作るなどができなくなります。
個人再生すると官報に掲載される
個人再生すると、自己破産した場合と同様に『官報』に掲載されます。
住宅を手放さなくてすむ場合がある
自己破産と個人再生の大きな違いは、個人再生の場合、住宅(持ち家)を残したまま借金を減額できるという点です。
住宅ローン特別条項という制度を利用して、一定の条件を満たせば、住宅を残したまま住宅ローン以外の借金を減額することが可能です。
債務整理などの手続きをすると、住宅(持ち家)に住めなくなると思われがちですが、そんなことはないんです。
裁判所公認で、住宅ローン以外の借金を減額しながら、住宅(持ち家)に住み続けることができます。
まとめ
債務整理は、借金に悩む人が経済的に立ち直れるようにするための方法です。
大きく分けて3種類あります。
『自己破産』『任意整理』『個人再生』
- 自己破産・・・借金を帳消しにできる。ブラックリストに登録される。職業が制限される。
- 任意整理・・・毎月の返済額が減る。ブラックリストに登録される。
- 個人再生・・・借金を大幅に減額できる。 住宅(持ち家)を残せる。ブラックリストに登録される。
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上記の方法を利用すれば、借金問題を根本から解決できますよ。
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相談することで、気持ち的にも、きっと楽になると思います。
借金問題から解放された、生活を想像して、一歩踏み出してみましょう。